ルールを知る
ゴルファーはマナーを覚え、ルールを知り、そしてそれを実行することが、重要です。あらゆるスポーツの中で審判員がいない(付き添わない)スポーツはゴルフだけといっても過言ではありません。
ゴルフのルールブックにも明記されていますが、「ゴルファーは皆、誠実で故意に不正を犯すものはいない」ということを理念に規則が定められています。
自らがプレーヤーであり、審判員でもあるということで、いろんな局面で自分自身にも問われることになります。
ここで実例を紹介し、皆様の今後の参考にしていただければと思うのですが、実はこの土日(6月27日・28日)に高校・中学公式戦、高校・中学関西決勝大会(2日間・36ホールストロークプレー)がグランベール京都GCで開催され、大阪予選を通過した鍋谷太一(中学1年)が出場しました。
大阪大会は予選の通過ラインがわずか14人しか通らない厳しい難関でしたが、通過することができ、本人も大変、喜んでこの試合で上位を目指し、8月に行われる全国大会(群馬県レイサムGC)に向けて練習を重ねてきました。
27日(初日)はインからのスタートで出だしの10番ティーショットはいつものように緊張しながらティーショットを打ったようで左の林に入れ、2打目は出すだけでしたが、3打目のPWのショットがピンそばにつき、パーで切り抜け、そこからは1バーディ・3ボギーの2オーバーの38で折り返すことになりました。
初日はパープレーを目指していたとのことで、そこまではなんとか我慢のゴルフをしていたように思います。
ところがその折り返しの後半のスタートホールで悪夢が起きました。そのホールはロングホールで、ティーショットを左林にいれ、そこでボールを捜しても見つからず、ロストボールの処置でティーグランドに戻ろうとしたとき、探してくれていた同伴競技者から「あったぞ!」の声、ホッとした太一はそのボールを確認、スリクソンZーSTAR、また番号も1番で使っているボールと同じ番号。
「よーし!」と気を取り直してそこからプレーし、5打目をカップに入れ、「パーだ」と思ってカップを覗いた瞬間、顔が青ざめたようです。
「印(しるし)がない!」試合前、自分のボールに黒マジックで入れていた「印(しるし)」がそのボールにはなかったのです。
そこで本人はそのことを同伴競技者(マーカー)に告げ、その処置を行おうとするものの、そのときは本人はかなり気が動転していたようで、ルールブックを見ても、はっきりしたことがわからない、同伴競技者に聞いても正しい処置がわからない、後ろは先ほどのボールの捜索時間もあり混んでいて、遅延プレー(その組全員に罰)のことも気になり、本人は「ホールアウト後、競技委員に処置を仰ぎ、罰を足せばなんとかなる」と思ったようで、次のホールのティーショットを打ちました(そこが万事休す)
そうなのです。誤球に気づいてから次のホールのティーショットを打てば、競技失格になるのです(最終ホールの場合はそのグリーンを離れる前に意思表示すること)
この場合の正しい処置は誤球した場所に戻って、2打罰を加え、正球としてプレーすればいいのです。
本人から「誤球して失格になった」と聞いたとき私は唖然としました。詳細を聞いてない私に本人は説明しようとしますが、涙声でなにを言っているのかわかりません。
後で聞くからとにかく泣かんでいい。「いいから」「いいから」としか言ってやれませんでした。
これから私が皆様にもアドバイスさせていただけるのことは両面(今回は片面のみ)に目立つ色で確実に自分のボールとわかるよう印を入れておくことだと思います。
私も同じことに遭遇していたらと考えたとき、自分の同組に同じ銘柄のボールを使っている選手はいなく、ボールを探している場所近辺に自分のボールと同じ銘柄、同じ番号のボールがあったら私も誤球していたでしょう。
ですが、その話を聞いた後、私は太一の頭を思い切り撫でてやり、「えらかった」とほめました。
なぜかというと同じ銘柄を使用している選手は同組におらず、また同じ番号ならスタート前に「しるし」までチェックしないので誤球とわかっていてもそのままプレーして何もなかった「ふり」もできたはずです。
スポーツ選手、人間として当たり前のことなのですが、私はそのスポーツ精神に感動し、逆にうれしくなり、今までゴルフをさせてきて、そういう選手に育ってくれてよかったと思えた瞬間でした。
私が「次の試合またがんばろな」と言ったら笑顔で「うん!」といっていました。
長文になりましたが、本人にたくさんの方から声援をいただいていました。また応援してくださった皆様、こういう結果になりましたが、本人はこのことを次のステップ、教訓としてがんばっていくといっていました。
ほんとうにたくさんの応援ありがとうございました。